L1 物理層(Physical Layer)

電気信号・光信号によるビット伝送

物理層とは

物理層(L1)はOSI参照モデルの最下層で、ビット列を電気信号・光信号・電波に変換して 物理的な媒体(ケーブル、光ファイバー、無線)を通じて伝送します。 0と1のデータを実際に送受信するための物理的な規格を定義します。

物理層の役割

デジタル信号
0と1のビット列
物理信号
電気/光/電波
伝送媒体
ケーブル/光ファイバー
受信側
信号→ビット復元

伝送媒体の種類

ツイストペアケーブル(UTP/STP)

  • Cat5e: 1Gbps、最大100m
  • Cat6: 1Gbps(10Gbpsは55m)、最大100m
  • Cat6a: 10Gbps、最大100m
  • Cat7/8: 10-40Gbps、データセンター向け

一般的なLAN配線で使用。RJ-45コネクタ。

光ファイバー

  • シングルモード(SMF): 長距離(数十km)、高速
  • マルチモード(MMF): 短距離(〜550m)、低コスト

電磁干渉なし、高帯域。データセンター間接続に使用。

無線(Wi-Fi)

  • 2.4GHz: 障害物に強い、混雑しやすい
  • 5GHz: 高速、障害物に弱い
  • 6GHz(Wi-Fi 6E): さらに高速、干渉少ない

物理層のデバイス

リピータ

減衰した信号を増幅・再生成。距離延長に使用。

ハブ

マルチポートリピータ。受信した信号を全ポートに転送(現在はほぼ使用されない)。

メディアコンバータ

異なる媒体間の変換(例:UTP ⇔ 光ファイバー)。

NIC(Network Interface Card)

コンピュータをネットワークに接続。信号の送受信を担当。

SRE/インフラ観点

データセンターでの考慮事項

  • ケーブル管理: ラベリング、経路分離、曲げ半径
  • 冗長化: デュアルパス、異なる経路での配線
  • 速度要件: サーバー間通信は10Gbps以上が標準
  • ToRスイッチ: ラック上部に配置、サーバーとの短距離接続

障害の兆候

  • • CRCエラー増加 → ケーブル不良/電磁干渉
  • • リンクフラップ → コネクタ接触不良/ケーブル損傷
  • • オートネゴシエーション失敗 → 速度/デュプレックス不一致